マンションの寿命とは?RCやSRCの耐用年数、長く住める中古の特徴を解説

中古マンションを購入するときに気になるのは、やはり築年数でしょう。
一般的に、築年数が経過したマンションほど価格は低くなりますが、築年数が古すぎる場合は、長く住むことができるのか不安になるのではないでしょうか。
中古マンションの中には、築年数が経過していても状態の良い物件があります。
そのような物件と出会ったときには、価格とのバランスを考えながら、購入すべきか、見送るべきなのか悩んでしまうケースも少なくないはずです。
本記事では、中古マンションについて、構造ごとの耐用年数や一般的な寿命についてご説明します。
また、長く住める物件の特徴もご説明しますので、ぜひ中古マンションを購入する際の参考にしてください。
1.マンションの寿命は何年?
では、早速マンションの寿命についてご説明しましょう。
1)耐用年数と寿命は違う?
マンションの寿命というと、法定耐用年数を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、法定耐用年数=マンションの寿命ではありません。
法定耐用年数とは、固定資産としての価値が消滅するまでの期間を定めた年数のことで、減価償却費を正しく計算し、公平に納税をするために決められた会計上の耐用年数です。
法定耐用年数は、国税庁によって建物の用途・構造別に定められています。
一方、マンションの寿命とは物理的な耐用年数のことであり、建物の資産価値が0円になる法定耐用年数を超えたら住めなくなってしまうわけではありません。
マンションは、適切な修繕やメンテナンスを行っていけば寿命を延ばすことができ、法定耐用年数以上に使用することができるのです。
2)鉄筋コンクリート造と、鉄骨鉄筋コンクリート造の耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)のマンションの法定耐用年数は47年です。
しかし、マンションの物理的な耐用年数、つまり、マンションの寿命は47年というわけではありません。
国土交通省が平成25年に発表したデータによると、鉄筋コンクリート造のマンションの平均寿命は68年です。
しかしながら、鉄筋コンクリート鉄筋部材の効用持続年数としての耐用年数は120年、さらに外装仕上げによって耐用年数は150年まで延命できるとしています。
言い換えれば、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションは、メンテナンス次第で150年以上住み続けることができるというわけです。
参照元:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介
2.建て替えや取り壊しの理由は?
マンションは、長ければ150年も使用できるとお伝えしましたが、老朽化したマンションを建て替えたり、取り壊したりしているのを見ることもあるでしょう。
なぜ、寿命が長いはずのマンションを建て替えたり、取り壊したりするのか、疑問に思うはずです。
実は、マンションが建て替えられたり、取り壊されたりしている理由には、次のような事情があります。
1)耐震基準に適合していなかった
耐震基準とは、建築基準法で定められている耐震強度のこと。
日本でマンションをはじめとした建物を建てるときには、耐震基準を満たす必要があります。
耐震基準は1981年の6月を境に改正されました。
1981年5月末までに適用されていた耐震基準を「旧耐震基準」と呼び、1981年6月1日以降から適用されている基準を「新耐震基準」と呼んでいます。
旧耐震基準は、震度5強程度に耐えることができる耐震基準でした。
しかし、1971年に発生した宮城県沖地震では、耐震基準を満たした建物でも多大な被害が発生。
1981年に震度6強から7程度の地震が起きても倒壊、崩壊しないことを基準とした新耐震基準に改正されたのです。
そして、政府は新耐震基準に合致していない1981年5月31日までの建物に関しては、耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強工事を行うように奨励しています。
しかしながら、マンションの耐震補強工事には多額の費用がかかります。
そのため、高額な費用をかけて耐震工事をするくらいなら、「そのお金で新たに建て直してしまった方が良いのでは」と考えられるケースが少なくないのです。
マンションが建て直しや取り壊しが行われる理由の一つは、耐震上の問題が関係していると考えられます。
2)配管設備が寿命を迎えたため
給水管や給湯管、排水管、ガス管などの配管の寿命は30年前後といわれており、建物の耐用年数よりも短くなっています。
現在のマンションの場合、劣化した配管を交換できるような設計になっていますが、1970年代以前に建てられたマンションでは、配管をコンクリートに埋め込む設計になっているケースが多いのです。
そのようなマンションでは配管が劣化した場合、配管だけを交換することができません。
建築から30年程度を過ぎ、配管の劣化によって水漏れなどのトラブルが発生するようになった場合、新たにマンション全体の配管を新設する工事が必要になるのです。
大規模な工事が必要になれば、工事費用も高額になります。
また、築30年が経過すれば配管以外にもメンテナンスが必要であり、修繕工事に高額な費用が掛かることも。
これらを踏まえると「建て替えや取り壊しをした方が良いのでは」という判断につながるケースがあるのです。
3)融資が通りにくく物件の流通が難しい
新築マンションであっても中古マンションであっても、多くの人は住宅ローンを組んでマンションを購入するでしょう。
金融機関では住宅ローンの審査時に、物件の築年数を築後35年程度、長くて60年程度までに限定しているケースが少なくありません。
築年数が法定耐用年数より古い場合などは、融資を受けられない可能性があるのです。
このように、築年数が経過したマンションは、たとえ物理的な耐用年数に問題が無くても、金融機関からの融資を受けにくいために中古マンションとして流通しづらい事情があります。
そのため、築年数が経ったマンションで売却ができない状況となれば、建て替えや取り壊しを検討せざるを得ない状況になるのです。
3.寿命が長い中古マンションの特徴とは?
中古マンションを購入するのであれば、法定耐用年数だけにこだわるのではなく、取得後に長く居住できるマンションを選びたいものです。
寿命が長い中古マンションには共通した特徴があります。
中古マンションを選ぶ際には、次のポイントに注目してみましょう。
1)新耐震基準に適合している
日本は地震の多い国です。
安心して、長く暮らすためには十分な耐震性を持つマンションであることが大切になります。
中古マンションを購入する際には、まず、新耐震基準を満たす建物であるかどうかを確認しましょう。
1981年6月以降に建築されたマンションであれば、新耐震基準に適合している建物です。
また、1981年5月31日以前のマンションを購入する際には、耐震補強工事を済ませているかどうかを確認しておきましょう。
2)定期的なメンテナンスが行われている
外壁や屋上、バルコニーなどの修繕を定期的に行っていなければ、ひび割れや防水性能の劣化などによって躯体の内部まで雨水が浸透する恐れがあります。
浸水は雨漏りの原因になるほか、建物自体の劣化を早める原因となります。
また、配管の寿命はマンションの寿命よりも短く、適切なタイミングで取り換え工事を行っていく必要があります。
マンションの寿命は、メンテナンスによって長くもなれば短くもなります。
しっかりと長期修繕計画が立てられており、計画に基づいたメンテナンスが行われている物件であれば、長く、安心して住むことができるでしょう。
中古マンションを購入する際には、長期修繕計画や修繕履歴を確認し、しっかりと建物の管理を行っているマンションを選ぶことが大切です。
3)コンクリートの品質が良い
コンクリートの品質も、マンションの寿命に影響を与えます。
コンクリートは、セメントや砂、砂利、水、混和剤などを混ぜ合わせて固めます。
水と砂の配合が多くなれば作業はしやすくなりますが、強度と耐久性は低下します。
質の良いコンクリートは、水やセメントなどの材料が的確に配合されたものです。
コンクリートの強度と耐久性が低ければ、災害時に亀裂が入りやすくなったり、経年劣化が進みやすくなったりします。
建築当時の設計書があれば、構造特記仕様書の中にコンクリートの設計基準強度と鉄筋からコンクリートの表面までの厚みである、かぶり厚さが記載されています。
コンクリートの質を厳密に見極める際には、コンクリートの設計基準強度が24N/mm²以上であることを目安とすると良いでしょう。
また、かぶり厚さについては建築基準施行令で建物の部位別に細かく厚さが定められています。
かぶり厚さが不足すれば、コンクリートの劣化は早く進みます。
中古マンションを選ぶ際には、コンクリート部分のひび割れが無いかも含め、コンクリートの品質についてもしっかり確認するようにしましょう。
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まとめ
マンションの寿命というと、法定耐用年数を思い浮かべる方は少なくありません。
しかし、法定耐用年数を超えても十分に使用できるマンションは多数あります。
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションの寿命は、しっかりとメンテナンスを行っていけば最長で150年にもなるといわれており、管理状態がマンションの寿命を大きく左右するといえるのです。
長く、安心して住めるマンションを選ぶ際には、建物の耐震性やメンテナンスの状態、コンクリートの品質などを確認し、修繕計画をしっかりと立てたうえで建物の管理を行っている物件を選ぶようにしましょう。