続・賃貸市場へのコロナの影響は
2020年5月25日に、国による新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は解除されましたが、その後も新規感染者数は一向に収まっていません。
長引くコロナウイルスの影響を考察していきたいと思います。
1.新型コロナウイルス関連給付金・補助金・助成金
令和2年2月より国は新型コロナウイルス関連の給付金について次々と施策を行っています。
今回のコロナウイルスの影響によって仕事や収入に影響があった方は非常に大勢いらっしゃいます。
個人の方であれば生活費や家賃といった必須のものから、法人でも人件費やテナント賃料などの支払いに困窮している様子が連日のように報道されています。
特に、賃料支援策に関して、今まで公表されている制度をまとめてみました。
オーナー様にとっても、入居者の賃料滞納は自身の返済にも影響を与える問題にもなりますので関心が高い方が多いようです。
特別定額給付金(個人向け)
住民票のある人(2020年4月27日時点)を対象に、1人当たり一律10万円が給付されます。
給付金で家賃を含めた生活費に充てた方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
家賃支援給付金(個人事業主・法人向け)
新型コロナウイルス感染症の影響により一定以上売り上げが減少し、家賃・地代の負担軽減が必要な方を対象に、月額家賃の6ヶ月分(上限、法人600万円、個人事業主300万円)が給付されます。
手続きの煩雑さが問題となっており、2兆円以上の予算に対して給付実績はわずか1%程度にとどまっています。(8月21日現在)
住居確保給付金(個人向け)
失業等により収入が減少している人を対象に、自治体が家賃の一部を3ヶ月間(最長9ヶ月)代理納付する制度です。
制度自体は以前からありましたが、コロナ禍により要件緩和されました。
失業要件は撤廃されており、ハローワークへの求職申し込みも不要となって利用しやすくなっています。
持続化給付金(個人事業主・資本金10億円未満の法人向け)
新型コロナウイルス感染症の影響により前年同月比50%以上売り上げが減少している事業者を対象に、法人最大200万、個人事業主最大100万円が給付されます。
様々な業種、会社以外の法人など、幅広く対象としています。
他にも飲食店の休業に対してなど、自治体ごとに様々な補助金、助成金の制度を設けています。
2.入居希望者の最新動向
コロナウイルス感染症が春の引っ越しシーズンを直撃したことによって数多くの引っ越し中止、延期、解約キャンセルが出ました。
本来3月、4月の最も賃貸需要が高まる時期に合わせて、空室解消を期待していた物件オーナー様も多く、賃貸業界にとっては最悪のタイミングで感染拡大があったと考えています。
6月、7月以降徐々に賃貸仲介業者の仲介件数は回復してきているようですが、学生需要の多いエリアなど一部で空室が長引いている物件も例年より多い印象を受けます。
大学のオンライン講義継続の発表に伴い、学生の賃貸需要そのものが減少しているだけでなく、退去者の増加も目立っています。
特に、海外からの渡航制限により、留学生のニーズはほとんど無い状況です。
賃料帯でいうと、学生をメインターゲットにしている4万円台前半の物から5万円台後半くらいの物件の動きはエリア問わず減少しているように感じます。
また、事業系ほどではないにせよ、住宅系の入居者からも賃料減額交渉が相次ぎました。
特に、5~6月が多かったと感じます。
テナントリテンションの重要性も高まり、応じるオーナー様が多かったのではないでしょうか。
現在は上記のように給付金もかなり整備されてきており、賃料減額の問い合わせは減ってきています。
今後は企業のリモートワークの定着にもよりますが、好立地な都心部の10平米台の1Rに並び、都心近郊外の25平米超1DKというような物件にも入居者の需要が高まるかもしれません。
同じくリモートワークの増加に伴い、建物の防音性(構造)も今まで以上に気にする入居者が増えると予想しています。
3.賃貸管理会社のリモート化
業務的にリモートに適する業務とそうでない業務がありますが、事務作業やミーティングなどリモートにより生産効率が上がったところもありました。
一方で、お部屋や建物の設備トラブルや書類の捺印・発送業務はどうしても現地まで調査に行かなければいけないことやリアル出社が必要になることもあり、フルリモートは業種的に厳しいように感じました。
新しい働き方のきっかけになったという会社が多いようです。
緊急事態宣言時に比べ、賃貸管理会社のリモート比率は低くなっているようです。
リアルを標準としていても、オンラインセミナーや社内外でのZoom会議など、今まで導入に至っていなかった様々なwebツールはコロナ禍を境に各社急速に普及して、今後も継続していくと思います。
賃貸仲介会社は現在ではリモートはほとんど行われていないようですが、一部では営業時間の短縮等で感染防止対策をしている店舗も見受けられます。
業界の古い慣習が残っていることや、町の小さな不動産屋さんがデジタル化に取り残されてしまっていたり、契約における宅建業法の制限など要因は様々ですが、日本の不動産業のIT化は他業種と比べ明らかに遅れていると言われています。
その中でも今回のコロナ禍において、各社少なくとも時限的にリモートワークに取り組み、その経験から得たものも多いのではないかと考えています。
通勤時間の短縮、移動距離短縮、社内サーバーへの外部からの接続技術、ペーパーレス化の向上、社員の働き方の多様性などなど、問題や課題のあることもありますが、IT化という視点から見ても、今後の業界の方向性として良かったのではないでしょうか。