1. コラム
  2. 集合住宅(マンション)の歴史
上下にスワイプでメニューを閉じる
コラム

集合住宅(マンション)の歴史

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

不動産投資は株式投資とは違い、マンションという物的資産を保有することになるので、ある程度の知識を持っておくことはとても大切です。

そこで今回は、知っておくと不動産投資できっと役に立つ、マンションの歴史について詳しく解説します。

1.マンションの2つの種類

集合住宅でマンションというと、物理的には同じでも法的には2つの建物に区分されます。

1つ目が、マンション1棟に対して所有権を登記するタイプのマンションで、不動産投資においては「一棟もの」などとよく表現されることが多いです。

建物1棟を所有することになるので、家賃収入も高額になりますが一方でローンの返済額も高額になるため、ハイリスクハイリターンともいわれています。

2つ目がマンションの1戸ごと所有権を分けて登記するタイプのマンションで、分譲マンション区分マンションという言い方をするのが一般的です。一棟ものに比べると少額からスタートできるので、サラリーマン投資家を中心にとても人気があります。

今回は、不動産投資としての人気が高い分譲マンションの歴史について紐解いていきたいと思います。

2.日本で最初の分譲マンション

民間の分譲マンションが初めて世に出たのは、1956年に日本信販が売主となって分譲した「四谷コーポラス」という新宿区四谷にある物件です。

鉄筋コンクリート造5階建総戸数28戸と最近の分譲マンションから比べると規模は小さめですが、JR四谷駅から徒歩5分という好立地で今も存在しています。

広さは50平米程度と広めの間取りで、メゾネットタイプが中心です。

当時としては最新式のマンションとして話題になりましたが、2013年に耐震診断をしたところ耐震強度に問題があることが発覚しました

早速耐震補強工事の見積もりを取ったそうですが、なんと8,000万円~2億8,000万円という非常に高い金額に上ることが判明したことから、建て替え決議が成立して建て替えられました。

ちなみに、建て替え後は名称が変更して「アトラス四谷本塩町」となっており、鉄筋コンクリート造6階になっています。

当時としては最新の鉄筋コンクリートマンションでも、現代の耐震基準で計算すると不適合ということですから、同じくらいの年代のマンションは同様の問題を抱えているとも考えられるでしょう

3.マンションブームからわかる質とは

マンションはこれまで何回かのブームとともに、質や形が変化してきました。

四谷コーポラスが分譲した頃から1973年くらいまでの第一次マンションブームでは、1964年の東京オリンピックが刺激となって、分譲マンションの供給が急速に進みました。

ただ、この頃はまだコンクリートを扱う技術が発展途上だったこともあり、現在使われているコンクリートに比べると水分量が多く、強度が弱い傾向があります。

そのため同じ鉄筋コンクリート造だとしても、耐震基準が変わった1981年以降建てられたマンションと、それ以前に建てられたマンションとでは実質的な耐用年数が大きく異なると思った方がよいでしょう

4.マンションの歴史から見た重大な問題点

マンションはアパートに比べて構造的に安定しているので、50年以上経過しているマンションでも、普通に人が居住しているケースが多々あります。また、投資用などで普通に中古マンションとして安値で売りに出ていることも少なくありません。

こういった中古マンションは利回りが10%を超えるようなこともありますが、購入する際には古い故のリスクについて事前に確認することが大切です。

排水方式が今と違う

中古マンションを購入するにあたって、絶対に確認しておく必要があるのが排水方式です。

最近の分譲マンションは階下との境界線である床スラブの上に配管を通す「床スラブ上配管」が一般的ですが、昔のマンションの場合は配管が床スラブを貫通して、下階の天井裏を通っているケースがあります。

これを床スラブ貫通天井裏排水などといい、購入後非常にネックになるのです。

床スラブ貫通の場合、構造躯体であるコンクリートを貫通させて配管を通しているため、リフォームをする際に水回りの位置を変更できません。

例えば、対面キッチンからアイランドキッチンに変更したり、トイレやバスルームの位置を変更したくても、構造上不可能ということになります。

責任問題で争うことも

通常、自分の部屋の配管で水漏れが発生した場合は、自分自身の費用負担で修理するのが一般的です。

ところが床スラブ貫通の場合、階下の天井裏の話になってくるので、管理規約によっては自分の部屋の水漏れなのに、階下の部屋の所有者が修繕費用を負担する、なんてことになることもありえます

このように中古マンションは、配管のように目視では確認ができない部分に思わぬリスクが潜んでいますので、投資をする際には十分注意が必要です。

5.まとめ

マンションは長期にわたって使用する財産なので、中古マンションを購入するにあたっては、そのマンションができた当時の法律や規則、方式などについて理解しておく必要があります。

特に今回ご紹介した排水方式のように、大きな制約をともなう部分も出てくる場合がありますので、築30年以上の中古マンションに投資する場合は、竣工図などを取り寄せて確認することをおすすめします。

ランドネット不動産運用顧問アドバイザー就任。「岸 博幸」氏 元経産省官僚 現慶應義塾大学教授 不動産投資セミナー開催中