マンションの管理費・修繕積立金とは?違いや相場を解説

投資用にワンルームマンションを購入した後にほとんどの場合「管理費・修繕積立金」を支払う事になりますが、回収した後は一体どのような場面で使われるのでしょうか?
「マンションの管理費と修繕積立金の違いとは?」「相場はいくらくらい?」と気になる方も多い事でしょう。
今回はマンションには欠かせない管理費・修繕積立金の概要と相場、滞納した時の流れ等について解説していきます。
1.マンションの管理費・修繕積立金とは
まずはマンションの管理費・修繕積立金の使い道と違いを知っておきましょう。
管理費はマンションの主に共有部分の維持のための費用です。例えばエントランスや廊下の清掃、エレベーターの保守・点検、給排水設備のメンテナンス等に利用されます。
管理組合の人件費や運営費用も入居者から集めた管理費から支払われ、火災保険料や地震保険料を管理費に含むマンションも存在します。
日々の適切な管理・維持のために利用されます。
一方修繕積立金は大規模なマンションの修繕のために積み立てられるお金です。
エレベーターの不調や共用部分の補修など小規模な修繕は管理費からの支払いとなりますが、エントランスのリフォーム、バリアフリー機能を付けるといった大規模なリフォーム、耐震機能向上のための工事等は修繕積立金として徴収します。
修繕積立金による大規模な改築や工事は数百万円規模になる事があり、10~15年と長期にわたって資金を積み立てていきます。
管理費と共にマンションの住環境の確保・向上のために用いられる費用で、時には災害による損壊や住民同士のトラブル対応にも利用されます。
管理費・修繕積立金を滞納したらどうなる?
管理費・修繕積立金を滞納すると、マンションの管理水準が落ち同じマンションの住人から反発を買いトラブルに発展する可能性があります。
民法では管理組合またはオーナーは、滞納者に対して支払の督促や少額訴訟を行う事が認められており、最終的には相手方の意志とは関係なく、相手方の財産から滞納金を回収、強制執行の手続きを行う事が出来ます。
オーナー・管理組合が滞納を見過ごした場合でも、滞納金があるワンルームマンションは売却価格が下がります。滞納している管理費・修繕積立金は買主に承継される事になるため、あらかじめ相場の価格から管理費・修繕積立金を差し引いた金額が売却価格となります。
また購入希望者に「滞納により近隣住民とトラブルがあるのでは」「問題のありそうな物件」という印象を与え、売却活動で不利になる可能性があります。
マンションの管理費・修繕積立金は期日通りに支払いましょう。
2.マンション1室あたりの管理費・修繕積立金の相場はいくら?
管理費・修繕積立金の相場を知っておく
ワンルームマンション投資を既にしている方や、これから投資しようと考えている方は、管理費・修繕積立金の適切な相場を理解しておきましょう。あらかじめ相場を理解しておかなければ、その金額について正しく判断することはできません。
管理費や修繕積立金は、定期的に発生する費用ですので、その試算をおろそかにしてはいけません。
ワンルームマンションの管理費の適正水準
不動産のビッグデータを取り扱っているスタイルアクト株式会社によると、ワンルームマンションの管理費単価(平米あたりの管理費)は以下のようになっています。
10平米台 | 436円 |
20平米台 | 361円 |
総戸数やマンションの高さ(階数)などの要素にもよりますが、15~30平米のワンルームマンションであれば、平米単価300円~450円が一般的な管理費の相場と言えるでしょう。
例えば、20平米のワンルームマンションであれば6,000円~9,000円といったところです。
ちなみに、総戸数が200戸未満の集合住宅では、総戸数が多いほど管理費単価は安くなる傾向にあります。
※参考:スタイルアクト株式会社「分譲マンション管理費4つの特徴」https://styleact.co.jp/press/1271
ワンルームマンションの修繕積立金の適正水準
国土交通省が発表しているマンションの修繕積立金に関するガイドラインによると、修繕積立金については以下の公式で求めるとされています。
Y(修繕積立金の目安)=AX(+B)
- A:専有床面積あたりの修繕積立金の額(下表)
- X:購入予定のマンションの床面積(平米)
- B:機械式駐車場がある場合の加算額
階数/建築延床面積 | 平均値 | 事例の3分の2が包含される幅 |
5,000平米未満 | 218円/平米・月 | 165円~250円/平米・月 |
5,000~10,000平米 | 202円/平米・月 | 140円~265円/平米・月 |
10,000平米以上 | 178円/平米・月 | 135円~220円/平米・月 |
20階以上 | 206円/平米・月 | 170円~245円/平米・月 |
例えば、10階建て、延べ床面積が5,000平米未満のマンションで、20平米のワンルームマンションの場合、3,300円~5,000円が修繕積立金の目安だと考えられます。
また、マンションのグレードや総戸数によって、修繕積立金の目安額は変わってきます。グレードの高いマンションや、総戸数の少ないマンションは修繕積立金の平米単価が高くなる傾向があります。
※参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf
3.今後マンションの管理費・修繕積立金は改定されるのか?
今後マンションの管理費や修繕積立金が改定されるか否かは「重要事項調査報告書」という書類に記載されています。
重要事項調査報告書はマンションの管理方法や修繕の履歴・状態・予定、修繕積立金の総額、管理組合の借入金の有無等細かい情報が記載されています。
管理費・修繕積立金に改定の予定がある場合は重要事項調査報告書に記載がありますのでチェックしておきましょう。気になる方は過去1、2年分の管理組合における総会議事録を用意してもらい確認しておけば間違いがありません。
管理組合に借入金がある場合は、大規模修繕工事に向けた今後の借り入れ予定の有無や各区分所有者への一時金の徴収予定の有無を確認しておきましょう。
管理費・修繕積立金の状況は、「健全・順調なマンション管理・経営が行われているか」を判断する資料の一つとなります。
4.ローン返済に加えて管理費・修繕積立金も経費に
投資用物件を購入するにあたり収支シミュレーションを行う方は多いですが、ローンの返済額に加え管理費・修繕積立金を支出額として織り込んでおきましょう。
管理費・修繕積立金を予算に入れずにシミュレーションした結果、「思ったよりお金がかかる」「予想よりキャッシュフローが少ない」というオーナーさんは少なくありません。
購入前には管理費・修繕積立金の金額を確認し、経費として計上した上で収支シミュレーションを行いましょう。
5.まとめ
マンションの管理費は日常的な点検・補修、適切な管理運営等に使用され、修繕積立金は大規模な修繕工事・リフォームに使用されます。
マンションの購入前には重要事項調査報告書で管理費・修繕積立金の改定の有無や、管理組合の経営状況をチェックしておきましょう。
管理費・修繕積立金の相場を把握すれば、目安は自ずと明らかになります。高すぎる場合は収益を圧迫することになりますが、逆に安すぎる場合にも注意が必要です。管理費や修繕費が不足してしまうと、値上げや一時負担金徴収の可能性もあるからです。
マンションは定期的なメンテナンスで資産価値が維持されます。適正な費用はかかるものと認識し、その使い道や相場を把握しておきましょう。