オーナーチェンジ物件「入居申込書」のチェックポイント
不動産投資物件の中には「オーナーチェンジ物件」というものがあります。
すでに入居者がいる物件を購入することを「オーナーチェンジ」といい、この場合どんな人がどんな契約で入居しているのかを確認するために、購入前に賃貸借契約の「入居申込書」を見せてもらう必要があります。
今回はオーナーチェンジ物件の「入居申込書」のチェックポイントを解説していきます。
1.どんな人が入居しているか
ワンルームマンションの場合、ほとんどが単身者のひとり住まいです。どんな人が住んでいるかは次のポイントをチェックしましょう。
- 男性か女性か
- 学生か社会人か
- 年齢はいくつか
- どんな職業か
ここでは入居者がどんな人かという事実だけでなく、自分がオーナーになったときのことを考えてみます。例えば、20歳の大学生だった場合、卒業して解約する可能性が高いとか、社会人でも結婚や転勤で退去する可能性があるなどが考えられます。
入居者がどんな職業なのかもチェックが必要です。例えば、入居者がアルバイトやパートの場合は正社員よりも職業がやや不安定になるので、後述する「誰が連帯保証人か」もしっかりチェックしておきましょう。
ほかにも、今までに賃料の滞納がなかったかも調べておく必要があります。いくら入居者がいる物件であっても、借主が賃料を支払わなかったり、滞納したりするような人ならマイナス要因となるからです。
2.どのくらいの期間住んでいるのか
公益社団法人日本賃貸住宅管理協会のデータを見てみると、学生や単身者の平均居住期間は2年~4年が最も多く、学生で83.2%、一般単身者(学生除)で60.4%となっています。ワンルームマンションに住む人は学生や単身者が多いので、社会人になって会社の寮に入ったり結婚したりして、平均すると4年程度で引っ越していきます。
たまに、そのマンションを気に入って長期にわたって住んでくれる人もいます。長期入居は収益が安定するため、とてもありがたいことですが、10年、20年住んだ入居者が出たときは、そのあとが大変です。
長期にわたり使用していた場合、いくらきれいに使っていたとしても経年劣化により、ほぼすべての設備を取り替えなければならないこともあります。そうなると、かなりの費用がかかってしまいます。場合によっては1年分の賃料相当額がかかってしまう、なんてこともあるかもしれません。
購入時点では空室より入居者つきの物件のほうが人気はありますが、現在の入居者があまりに長く住んでいる場合は、今後大きな費用がかかる可能性があることも忘れてはいけません。
※参考:公益社団法人日本賃貸住宅管理協会 第22回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』10.平均居住期間https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan22.pdf
3.連帯保証人は誰か
家賃滞納が発生して契約者がすぐに支払いに応じない場合、連帯保証人に立て替えて支払うよう請求するため、親や親族が連帯保証人になっているケースが1番安心できます。
ここで注意しなければならないのは、2020年4月の民法改正以降に締結された賃貸借契約から、連帯保証人との契約には極度額の設定が必須となる点です。極度額の定めがなければ連帯保証の契約自体が無効になってしまうため、連帯保証契約がちゃんと成立しているのかを確認しておきましょう。
また「家賃保証会社」を活用する例もたくさんあります。保証会社は、賃借人が保証委託料を支払うことで、連帯保証人を事業として引き受けてくれます。保証会社にも限度額は設定されていますが、家賃滞納が発生した際の対処は非常に早いです。
誰が連帯保証人になっているのか、もしくは家賃保証会社を利用しているのかを必ずチェックしておきましょう。
4.入居申込書が確認できなかったら
売主や管理会社、売主側の仲介会社によっては、事前に入居申込書を取得できないこともあり、理由としては以下のような場合があります。
- 入居申込書がない
- 契約前に管理会社に売却することを知らせたくない
- 契約前に管理会社が情報開示をしてくれない
- サブリースのため、売主が内容を把握していない
物件により入居申込書が取得できないケースは様々です。投資用不動産は、収益を前提に物件を購入するため、最低限の内容だけでも購入前に確認するようにしましょう。
契約・決済時に入居申込書が無く、入居者の属性が分からなかった場合は、所有者変更通知や更新時に入居者属性を記入してもらうことで、勤務先や緊急連絡先などを確認することが大切です。
5.まとめ
オーナーチェンジ物件は、以前のオーナーから物件の引き渡しを受けたときから家賃収入を得られるため、とくに不動産投資初心者にとっては魅力的です。しかし、すでに賃貸借契約を締結している入居者に対して新しい条件を加えるなどの契約を強要することはできません。新オーナーは、旧オーナーより契約内容を引き継ぐことになります。そのため、賃貸借契約の内容はもちろん、入居申込書も事前によく確認し、入居者の質なども納得できるかどうかをしっかりチェックしておきましょう。