中古戸建購入で注意したいシロアリ被害と防蟻処理
中古物件を購入する前に、不安はできるだけ解消したいと考える方が多いのではないでしょうか?
中古戸建購入時に気になるのが、シロアリ被害。ひと口に中古戸建といっても、築年数や住宅の仕様によって、シロアリ被害のリスクは異なります。
ここでは中古戸建購入時のシロアリ被害のチェックポイントや、売買契約の確認ポイントを解説します。
1.中古戸建の築年数や住宅の仕様を確認しよう
建築基準法では、地面から1m以内の柱や筋かい等に、有効な防腐措置を行うことが定められています。
(外壁内部等の防腐措置等)
第四十九条 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。
2 構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から一メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。
では、有効な防腐措置とはどのようなものでしょうか?
木造住宅には、地面から1m以内の構造体の木部に、以下の4つのうち、いずれかの措置をします。
有効な腐敗措置
- ヒノキやヒバなど、耐久性の高い樹種を採用する
- 断面寸法が120mm×120mm以上の材料を構造体に用いる
- 有効な薬剤処理を施す(薬剤を加圧注入処理した木材を使用する、または薬剤を塗布する)
- 外壁内部に通気層を設ける
薬剤塗布の薬の効果は、土壌や人体への影響を考慮して最大5年。そのため、薬剤塗布は5年以内ごとに再処理をした方が良いとされています。
2.中古戸建購入時に確認したい!4つのシロアリ被害チェックポイント
それでは、中古戸建の購入を検討する際の具体的な確認ポイントをお伝えします。
1)「蟻道(ぎどう)」がないか
「蟻道(ぎどう)」とは、シロアリがつくる土(蟻土)のトンネルのことです。
シロアリは、街中によくいるクロアリと違い、明るい場所を嫌います。
シロアリは、土や木のカスとシロアリ自身が排出する分泌物や排泄物を混ぜて固めながらトンネルをつくります。
建物の基礎や土台に蟻道があれば、要注意。過去にシロアリがいたか、現在もいて活動している可能性が高いです。
専門業者に相談してください。
2)水漏れや水たまりなど常に湿気がある場所はないか
シロアリは、湿気と暗い場所を好みます。
床下、雨漏りした住宅の天井裏や柱、浴室のほか、庭に放置された湿った木材や段ボールなどにも巣をつくります。
3)「天然木」のウッドデッキがないか
庭にウッドデッキがある中古戸建は、その材質を確認しましょう。
ウッドデッキの主な材質は「天然木」と「人工木(樹脂木)」です。
LIXIL、三協アルミ、YKK APなど、建材メーカー製のウッドデッキであれば人工木ですので、シロアリの心配はほとんどありません。
天然木のウッドデッキは、日陰、湿気、食べ物(家やウッドデッキの土台、樹木などの木材)と、シロアリが住むのに最高の環境です。
購入を検討している戸建に天然木のウッドデッキがあるなら、シロアリがいないか特によく確認してください。
4)防蟻処理(シロアリ予防)したのはいつか
シロアリ被害にあうと、駆除するだけでなく建物の修繕も必要になることがあり、時間もコストもかかります。
そのため、定期チェックと予防が大切です。
購入検討している中古戸建が薬剤で防蟻処理をしているのであれば、効果はバリア工法で最大5年、ベイト工法では1~5年です。
いつ防蟻処理をしたのか、工法も含めて確認しましょう。
3.売買契約時の確認事項
購入後の「安心」のために、売買契約をする前にできることがあります。
1)契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の内容と期間をチェック
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容に適合していない場合の売主側の責任のこと。
シロアリ被害の他に、雨漏りや土壌汚染なども、契約内容によっては契約不適合責任の対象となります。
生活するために中古戸建を購入したのに、シロアリ被害にあったのでは、住居の条件を満たしませんよね。
例えば、売主が「シロアリ被害がない中古物件」として販売し、買主も確認しシロアリ被害を見つけられなかったものの、引き渡し後にシロアリ被害にあった場合、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できます。
契約不適合責任の期間は、不具合がわかってから1年間(売主が不動産業者の場合は2年間)。
契約不適合責任は、買主に4つの権利があります。
【契約不適合責任】買主による請求権等
- 追完請求権
- 代金減額請求権
- 債務不履行による損害賠償請権
- 債務不履行による解除権
ただし、契約不適合責任は任意規定であり、契約後の責任範囲と期間は契約書の内容が優先されます。
売買契約書に「シロアリ被害あり」という記載があれば、シロアリ被害の事実を知った上で購入しているため、契約不適合に該当しません。
また、契約不適合責任の履行期間が書かれていれば、売買契約書に記載された期間内に申し出なくてはなりません。
さらに「売主の契約不適合責任を免責とする」といった記載があれば、不適合箇所が見つかっても一切の責任を負ってもらえませんのでご注意ください。
2)ホームインスペクションも有効
シロアリは、外から見える場所だけにいるとは限りません。
床下は暗く、点検口から目視しただけでは見逃してしまう心配もあると思います。
ホームインスペクション(住宅診断)は、買主側にも売主側にも寄らない中立の立場で住宅を調査するサービス。
購入前に、ホームインスペクションで総合的に診断してもらう方法もあります。
参考記事:ホームインスペクションとは?中古住宅を購入するときに知っておきたいポイント
4.中古戸建購入後はシロアリ対策計画を立てる
べた基礎の建物は床下全面をコンクリートで覆うため、地盤からの湿気が建物に伝わることを防ぎ、シロアリの被害も少ない傾向にあります。
しかし、築浅物件でべた基礎だからシロアリ被害にはあわないというわけではありません。
物件の築年数に関係なく、購入後は定期点検や防蟻処理の計画を立てることをおすすめします。
薬剤の効果が最大5年であることから、住宅メーカーやリフォーム会社、シロアリ駆除業者など、多くの会社では5年保証を設けています。
5年以内に無料点検してくれる会社もあります。
参考記事:基礎工事における「べた基礎」を解説!「布基礎」との違いとは?
まとめ
シロアリ被害を受けないためには、なにより予防が大切です。
シロアリが好む日陰、高温多湿、シロアリの食べ物となる木材や段ボールを置きっぱなしにすることを避け、5年以内ごとに定期点検を行うことがポイントです。
もし購入した中古物件にシロアリ被害を見つけたら、契約書を確認の上、専門業者に相談してください。