1.住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、自身の居住用の住宅にローンを利用し、新築・購入又は増改築等をした場合に、年末のローン残高の1%を所得税(一部は翌年の住民税)から10年間控除する制度です。
消費税率10%で住宅を取得し、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合には、控除期間が3年間延長されます。
1年間の控除額は最大40万円ですが、法律で認定された長期優良住宅・低炭素住宅は上限が50万円となります。
※出典:国土交通省「すまい給付金」http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/
控除額は借入残高の1%、年間の最大控除額(40万円又は50万円)、所得税と住民税の合計額のうち最も少ない金額となります。
1)住宅ローン控除の要件
住宅ローン控除の要件は以下の通りになります。
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住宅を新築した時だけではなく、増改築や建築基準法に準じた大規模な修繕・模様替えの工事においても利用できます。
マンションの場合は、専有部分の床・階段・壁の多くについて行う修繕・模様替えの工事に適用されます。耐震基準に適合する耐震改修工事、バリアフリー改修工事・省エネ改修工事も一定の要件を満たした場合、制度を利用できます。
2)住み始める時期によって控除期間と控除限度額が異なる
消費税率の引上げは、2014年4月に8%、2019年10月に10%と2段階に分けて行われましたが、住宅ローン控除制度では、居住開始時期・消費税率により拡張する内容が異なります。
以下のように居住開始時期と最大控除額が段階的に分けられます。
※参考:国土交通省「すまい給付金」http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/
2014年4月以降において経過措置により5%の消費税率が適用された場合、個人間売買などにより消費税が非課税の住宅は2014年3月までの扱いとなります。
3)住宅ローン控除の申請
住宅ローン控除は、ローンを契約した住宅に住み始めた翌年の確定申告時に、税務署に必要書類を提出することで申請が可能です。
サラリーマンの方は、2年目以降勤務先にローンの残高証明書を提出することで、年末調整で控除を受けることができます。所定の書類に必要事項を記入し、登記事項証明書や住民票の写しなどを添付し確定申告を行います。
2.2021年度の住宅ローン控除見直しとは?税制改正大綱を簡潔にまとめ
2020年12月に、財務省は2021年度の税制改正の大本となる内容「税制改正の大綱」を発表しました。
税制改正の大綱では、上記の表の通り2021年12月までだった住宅ローン控除の適用期間を2022年12月末まで延長することが明らかになりました。
延長が可能な住宅の要件は、【1】住宅ローン控除の要件に適合している、【2】2021年1月1日から2022年12月31日までの間に住み始める事、【3】以下の表の期間内に契約を締結している事となります。
該当する住宅 |
契約期間の条件 |
新築の居住用建物 | 2020年10月1日~2021年9月30日 |
新築未使用
中古住宅を居住用に取得又は増改築 |
2020年10月1日~2021年11月30日 |
また床面積に関しては50㎡以上が条件でしたが、40㎡以上でも適用可能となりました。
40㎡以上50㎡未満で控除を受ける方の所得は、合計所得金額が1000万円以下であることが条件となっています。
長期優良住宅、低炭素住宅の認定を受けた住宅の新築や、耐震改修工事を行った住宅に関しても同様に延長となります。
2022年1月以降に行う確定申告により、随時税金が還付され適用開始となります。
3.2022年にも見直し!ローン利息を考慮した控除額となる可能性が
税制改正大綱には、2022年度の住宅ローン控除制度改正についても触れられています。
住宅ローン控除の控除率1%を下回る金利で融資を受けている方が多い現状を踏まえ、「適用実態等からみて国民の納得できる必要最小限のものになっているかなどの検討が望まれる等の指摘がなされている」と記載されています。
控除の関わる費用の一部を国費で補てんしているという事もあり、「住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度(2022年度)税制改正において見直すものとする。」との見通しとなっています。
住宅ローン控除は、冒頭の図の通り【1】借入残高の1%、【2】年間最大控除額(40万円(一定の基準を超えた住宅であれば50万円)、【3】所得税と住民税の合計額のうち一番少ない金額が適用されます。
よって借入残高の1%で控除を適用されている場合、来年の税制改正において控除額が変更される可能性があります。
今後の動向を注視していきましょう。