賃貸中の物件で夜逃げ発生!残置物はどう処分する?
夜逃げは、一般的には深夜にこっそりと誰にも行き先を告げずに逃げるため、最低限の貴重品だけ持っていなくなってしまう入居者が大半であり、家具や私物が残されたままのケースがほとんどです。
このように夜逃げによって残されたしまった入居者の荷物はどうやって処分すればいいのか、今回は詳しく解説していきたいと思います。
1.夜逃げ発生!それでも絶対にやってはいけないこと
夜逃げが発生した際に残された入居者の私物を「残置物」といいます。
残置物があるままでは、次の入居者を見つけることも出来ないし、オーナーにとっては死活問題でしょう。
早く何とかしたいところだと思いますが、夜逃げした入居者の残置物を勝手に処分すると違法行為になるため、絶対にやってはいけません。
残置物の所有権は入居者にあり、所有権侵害になってしまうからです。
後ほど詳しく解説しますが、仮に、賃貸借契約が終了したとしても、賃貸借契約の終了と残置物の処分は別問題であり、残置物をオーナー側で処分するためには強制執行手続きが必要となります。
2.夜逃げによる残置物を処分する方法
勝手に処分できないのであれば、どのようにして処分すればいいのでしょうか。
手順をみていきましょう。
1)契約書を確認する
賃貸借契約書に、残置物について記載されている可能性があるので確認します。
もし、「残置物があった場合は、賃借人は所有権を放棄する」旨の記載があれば、オーナーが処分することが可能です。
2)賃貸借契約を解除する
上記のような文言が契約書になかった場合は、まずは賃貸借契約を解除しましょう。
もし連帯保証人がいて、その方と連絡がとれるようなら、賃貸借契約の解除手続きを行ってください。
もし、連帯保証人とコンタクトが取れなかったり、賃貸借契約の解除に応じてもらえなかったり、そもそも家賃保証会社のみを利用していて連帯保証人がいなかったりする場合は、民事訴訟を起こし、賃貸借契約解除の手続きを行うことになります。
3)強制執行の手続きをする
前述したように、賃貸借契約が終了したからといって、勝手に残置物を処分することは出来ません。
そこで、賃貸借契約を解除した後に、残置物の処分をするための強制執行の申し立てを行います。
強制執行が認められると、オーナーが残置物の撤去をする権利を得ることができます。
※賃貸借契約を解除し、強制執行手続きをするための訴訟の流れについては、こちらに詳しく記載していますのでご参照ください。
(No.2「家賃滞納者が夜逃げした!保証人や保証会社への適切な対応手段などを解説」)
4)残置物を処分する
上記の手続きを経て、ようやく残置物の処分をすることが可能となります。
どのようにして処分するかですが、オーナー自身で処分しても良いですし、業者に依頼することも出来ます。
あまりにも残置物が多い場合は、自身だけで処理するのは難しく、現実的ではないため、業者に依頼するべきでしょう。
ただし、処分や撤去にかかる費用は、基本的にオーナーの負担となります。
3.残置物の処分にかかる費用はどのくらい?
残置物の処分を業者に依頼した場合、相場は1㎥(立法メートル)あたり、5,000円から15,000円くらいとなっています。
勿論、業者によって差がありますし、残置物の量によっても料金は異なってきます。
一般的に、残置物が多ければ多いほど高額になると考えてよいかと思います。
手間や人件費が余分にかかり、料金が割増しになるケースとして、エレベーターの無い物件や、道路幅が狭く近くまでトラックが入れないような物件などがあります。
注意したいのが、家電製品が残されていた場合です。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品は、廃棄する際に「家電リサイクル料金」がかかるため、別途追加料金が発生してしまいます。
4.夜逃げによるリスクを防ぐには
このように、賃貸中の物件で夜逃げが発生してしまった場合、残置物を処分するまでに多くの時間と費用がかかってしまいます。
当然ながら、夜逃げの場合は家賃の滞納の問題もあるでしょう。
夜逃げのリスクに対処するためには、家賃保証会社を利用するだけでなく、連帯保証人も必ず付けることです。
連帯保証人が常識のある方であれば、滞納した家賃の支払いと賃貸借契約の解除に応じてくれるので、夜逃げ発生後の面倒な手続きが軽減されます。
もう一つ大事なことは、賃貸借契約を結ぶ時、「退去する際、明渡し後に残されていた私物をどうするか」についての取り決めをして契約書に記載しておくことです。
トラブルを避けるためにも、「残置物があった場合は、賃借人は所有権を放棄し、賃貸人が処分することを認める」という旨の内容を入れておきましょう。
その際、残置物を誰の費用で処分するかまで盛り込めるとなお良いでしょう。
まとめ
賃貸中の物件で夜逃げが発生しても、契約書に残置物に関する取り決めが記載されていない場合は、残置物をオーナーが勝手に処分することは出来ません。
賃貸借契約の解除をし、強制執行が認められてはじめて残置物の処分をすることが可能となります。
残置物の処分は、量が少なければオーナー自身で行ってもよいですし、大量にあるようなら業者に依頼しましょう。
残置物の処分までにはかなりの時間を要するので、夜逃げが発生したと思われる場合は迅速に対応することが重要です。