【2022年版】東京都内の不動産投資の利回り最低ラインは?
不動産投資をするにあたって、どのくらいの収益が見込めるのかはとても気になるところです。
それを判断する一つの指標が「利回り」ですが、「利回りは何パーセントあれば投資は成功しますか?」といったご質問をよく受けます。
そこで今回は、不動産投資の利回りの最低ラインについて考えていきたいと思います。
【注意】
※本記事は2022年最新版の不動産投資の利回りについて解説しております。
今後インフレ等が進み、物件価格が高騰する可能性が高く、2022年以降の不動産投資の最低利回りが変わる可能性があるからです。
1.利回りの計算方法は?
利回りの最低ラインについて考える前に、利回りの種類と計算方法からみていきましょう。
1)表面利回り
年間の家賃収入を物件の価格で割って計算して出される数値であり、おおまかな利益を知る目安となります。
不動産広告に表示されている利回りとは、表面利回りを指していることがほとんどです。
計算式にすると以下のようになります。
表面利回り=年間の家賃収入÷物件価格×100
2)実質利回り
年間の家賃収入から、管理費、固定資産税、修繕積立金などの必要経費であるランニングコストを引いた額を、物件の価格とその取得にかかった税金などの費用の合計で割った数値であり、表面利回りよりも精度の高い収益性がわかります。
計算式にすると以下のようになります。
実質利回り=(年間の家賃収入-ランニングコスト)÷(物件価格+物件購入時の諸費用)×100
2.利回りの最低ラインはどのくらい?
利回りの最低ラインを調べてみると、最低5%、もしくは10%、多くのサイトがこのどちらかの数値を挙げています。
どちらが正しいのか気になるところですが、どちらも正しくないと言わざるを得ません。
なぜなら利回りは条件次第で大きく差が出るものであり、一概に最低ラインが何パーセントと言えるものではないからです。
その詳しい理由をみていきましょう。
1)中古の利回りは高く、新築は低い
前述したように、表面利回りは、年間の家賃収入を物件の価格で割って計算します。
ですから、価格が高い新築物件の利回りは低くなり、価格がある程度落ち着いている中古物件の利回りは高くなります。
新築物件の利回りは低いといっても、新築であれば需要は高く、相場よりも多少家賃を高めに設定しても入居者が見つかる可能性が大きいですし、新しいため修繕費はほとんどかからず、大規模修繕などもしばらくする必要が無いので、修繕関係の費用は安くすみます。
実質利回りを考える場合、修繕費の少なさは、大きなプラス要素となります。
中古物件は、価格の安さがアドバンテージとなり、利回りは高くなるものの、築年数にもよりますが、家賃は新築物件ほど高くは取れず、修繕費なども多くかかってくるでしょう。
ただ、中古物件でも立地によっては新築と同じくらい人気があり、家賃が高止まりでほとんど下がらない物件もあります。
そのため、利回りの高さだけをみて新築と中古、どちらが優れていると判断するのは難しいでしょう。
2)地方の利回りは高く、都心は低い
地方の物件は、価格の安さが魅力です。
なぜ地方の物件は安く買えるのかというと、土地の値段が関係しています。
都心は土地の価格が高いですが、地方はそれほど高くありません。
それゆえ、物件の価格が都心は高く、地方は安くなり、利回りの高さに影響してくるのです。
とはいっても、地方の方が家賃は安いだろうと思われるかもしれません。
確かにその通りなのですが、都心と地方の家賃の差は数万円程度なのに対し、物件価格は数百万円~数千万円単位で違ってきます。
以上のような理由から、地方物件の利回りの高さに比べ、都心は低くなり、利回りの差が生まれるのです。
地方物件は利回りが高いですが、人口の少なさから空室リスクも高く、満室時を想定して計算する利回り通りには収益が出ない可能性も高いです。
3)木造の利回りは高く、鉄筋コンクリート造は低い
木造の建物は、建築費が安価なので物件価格が安く、鉄筋コンクリート造は耐用年数が高いため建築資材や建築費などのコストがかかります。
修繕費なども、鉄筋コンクリート造のほうが多くかかってきます。
ですから木造物件の利回りは高く、鉄筋コンクリート造は低いのです。
しかし、入居者目線で考えた場合、火災や地震などの災害に見舞われるかもしれない可能性を考えると、頑丈な鉄筋コンクリート造の人気は高いです。
ゆえに、木造の方が利回りは高くても、鉄筋コンクリート造の空室リスクは木造より低いですし、利回りだけでなく、それらの事情も考慮に入れて判断する必要があるでしょう。
3.東京のワンルームマンション投資の最低利回りは?
利回りが低いが、購入費用が安価に加え、単身世帯が増えている世の中にマッチして常に賃貸ニーズが高い”東京のワンルームマンション投資”で見た場合。
・築20年未満の築浅の最低の実質利回り:3.6%
・築30年以上の築古の実利の実質利回り:5%
が、2022年に多くのワンルームマンションで販売されている物件が最低ラインの利回りになる傾向でしょう。
4.最低利回りでも東京の駅から徒歩2キロ圏内は地価が上昇傾向
東京エリアを含む三大都市圏に限った話になりますが、国土交通省のデータによると、駅から徒歩2㎞圏内では地価が上昇傾向にあることがわかります。
物件の地価上昇が見込める駅から徒歩2㎞圏内の物件は、駅近であることから購入額が高く、低利回りになることも想像がつきます。
ただ、人口減少の局面では過疎化が進み、駅近とそうではない物件の価値が二極化することも考えられる中、今後も賃貸需要が期待でき、物件購入時より高く売却できる可能性があるのは駅近の物件でしょう。
まとめ:売却益狙いであれば、利回りよりも立地重視
”低利回りだから投資しない。”という判断はちょっとお待ちください。
上記でもお伝えした通りですが、高利回りであればいいというわけではありません。
高利回りといわれる物件にはそれ相応のリスクを抱えており、リスクヘッジを行わずにその物件で不動産投資を行うと…
・空室リスクが高く、想定していた収益が取れずに結局低利回りになる
・収益低下による資産価値の下落リスク(購入時よりも圧倒的に安く買いたたかれる)
・売るに売れない(現金化できないリスク)
など多くの、想定していた投資が行えないリスクが存在するからです。
利回りは、物件の収益性を判断するうえで、ひとつの指標とはなりますが、高利回りだからその物件が収益性のある良い物件であるということにはなりません。
結局、インターネットのサイト上で調べるとよく出てくる、最低ライン5%や10%の数値はその条件を加味しておらず、あくまでも様々な物件の最低ラインの平均値に過ぎないことが多いからです。
どの物件にも、収益を出すために最低でもこの程度の利回りは欲しいという最低ラインは存在するとは思いますが、自分の購入したい物件がどのような条件であるのかを考慮した最低ラインを考えるべきでしょう。
利回りの数値だけで判断せず、立地の考慮も不動産投資を成功させる物件選びの際の重要なポイントの一つであることを念頭に置いておきましょう。