競売物件がやばいって本当?メリット&リスク7選【上級者向け】
不動産投資に興味のある方は「競売物件」という単語を一度は耳にされた機会があるのではないでしょうか。
競売物件とは裁判所を通じて手に入れる事の出来る物件で、通常の物件より価格が安い一方で内覧が出来ないといったリスクや以前の住人が不法占拠しているというリスクが存在します。
競売物件はメリット・リスクを把握し正しく理解していく事で、お得な物件を相場より安い価格で手に入れ、長期的なリターンを得る事が出来ます。
今回の記事では競売物件のメリットとリスク、注意点を見ていきましょう。
1.競売物件とは?
競売物件とは住宅ローンを返済できなくなり、担保となっている土地や家等の不動産を、裁判所を通して強制的に売却された物件です。
ローンを組んでいる不動産には、ローンが払えなくなった時に不動産を担保として差し出す「抵当権」が設定されており、「抵当権」を用いて強制的に売却できる仕組みになっています。
一般的な物件との大きな違いは、担保となっている不動産を裁判所に差し押さえられており売主が存在しないという点です。
一般的な物件はローンの契約者(債務者)の意思で売却を行うため、売主から引き渡しが行われますが、競売物件は売主が存在しない状態ですので引き渡しは行われません。
裁判所が所有権移転の手続きを行う形となり、買主は物件の所有権を手に入れます。
競売物件を購入する際は「入札」という手続きを定められた期間内で行い、一番高い価格で入札した者が物件を購入できます。
2.競売物件のメリット・リスク7選とは
通常の不動産売買とは異なる競売物件には、メリットとリスクが存在します。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
競売物件のメリット3選
1)購入費用が安い
競売物件の最大のメリットは購入費用が安いことです。
競売物件には後の項でご紹介するように「内覧が出来ない」「引き渡し義務がない」等、一般的な物件には無いリスクがあるため、あらかじめ価格が調整(競売市場修正)されています。
一般の物件と比べ3割程度安く購入できるといわれています。
2)物件が多様
通常の物件と違い不動産会社を介さないため、不動産市場に流通しない多様な物件を手に入れる事が出来ます。
三角形等の特殊な形状をした土地や極端に狭い土地、田舎の農地やアパート一棟まるごと等様々な物件が存在しますので、様々なニーズに対応できます。
例えば賃貸物件一棟を買い取り経営したい場合や、都心に荷物置き場として利用できる狭い物件を通常より安く購入する事が可能です。
住居を取り壊し、商業施設や老人ホームを建設して活用したい方にもお勧めです。
3)手続きがシンプル
競売物件は通常の物件よりも手続きの負担が少ないです。
所有権の移転登記や抵当権の抹消登記といった煩雑な手続きは裁判所が行い、購入者は入札用紙と暴力団員に該当しない旨の書類を提出し保証金を納付、後に残りの代金を振り込みや持参で納付するだけで手続きが完了します。
一般の物件のように司法書士に依頼し、売買契約書を交わした後代金を支払い清算するといったプロセスがなく手続きにおける買主の負担は少ないと言えるでしょう。
競売物件のリスク4選とは
1)引き渡し義務が無く、不法占拠の可能性も
競売物件が安い理由の1つとして、売主がいないため引き渡し義務がないという理由があります。
裁判所により差し押さえられた物件ではありますが、住人が退去せず不法占拠している可能性があります。
この場合購入者自身で裁判所に引き渡しを命令する申立てを行う必要があります。
引き渡し命令が占有者に伝えられても退去しない際には、「強制執行」の申立てを行い明け渡しに必要な家具の運搬費用等を裁判所の執行官に払わなくてはいけません。
通常の不動産売買では不動産会社が間に入りますが、競売物件では上記の申立てを購入者自身で行わなくていけません。
2)内覧できず、情報が限られている
競売物件は内覧ができず、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」という裁判所が作成した3点の書類が情報源となります。
「物件明細書」は賃借権の有無等物件に関する権利がまとめられた書類で、「現況調査報告書」は建物の種類・構造や物件・土地がどのように使用されているかが記載されています。
「現況調査報告書」には内部の資料が添付されているため、内覧が出来ない競売物件の貴重な資料となるでしょう。
競売物件の周辺の環境や評価額、不動産の図面等の資料が「評価書」となります。
上記の情報は「BIT不動産競売物件情報サイト」からも見る事が出来ます。
しかし実際に内覧する事はできませんので、記載する事を定められていない情報が後に判明する可能性もあります。
可能な場合は実際に現地に赴き、物件を外から見てみましょう。
※参考:BIT不動産競売物件情報サイトhttp://bit.sikkou.jp/app/top/pt001/h01/
3)期間が限られている
競売物件は裁判所が定めた一定の期間内に入札書を受け付ける「期間入札」という形で購入します。
最も高い価格で入札した者に権利が明け渡される仕組みで、入札後は落札の取り消しが認められていませんので、慎重に行う必要があります。
入札には「保証金」という売却基準価額の10分の2以上の金額の入金をしなくてはいけません。
入札の際は入札書等を準備し手続きも自身で行いますが、不動産会社で代行サービスを行っている会社も存在します。
4)契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が無い
競売物件は売主がいない状態であるため、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が存在しません。
そのため不備や破損、汚れが見つかっても購入者が費用を出し修繕や清掃を行わなくてはいけません。
3.競売物件購入の注意点
競売物件をマイホームとして取得予定の方は、住宅ローンの利用を希望する方が多いです。
以前は競売物件のローンを組む事は不可能でしたが、民事執行法82条の施行により、競売物件に抵当権(住宅ローンを契約する際に金融機関が設定する、不動産を担保として差し出す権利)を設定できることが明記されてから、住宅ローンを利用できることになりました。
ただしローン制度を利用するためには、司法書士や弁護士といった登記の専門家に申立書や抵当権設定契約書等の書類を連名で作成することを依頼し裁判所に提出します。
物件の残代金と共に登録免許税(529円)及び郵便切手代(1099円)を支払った後、司法書士等が所有権の移転登記等の登記関係書類を受領し法務局で移転登記を行います。
更に裁判所に届出書を提出し、法務局から登記完了証の交付を受け手続きが完了します。
ローンを組み競売物件を購入する際は、専門家への依頼への報酬や登録免許税等の費用と手続きの手間がかかりますので注意しましょう。
>>合わせて読む住宅ローンを完済したときの抵当権抹消登記に必要な書類と手続きの流れ
4.まとめ
競売物件には購入費用が安いといったメリットがある一方で、引き渡しが無く物件の情報が限られるといったリスクがあり、ローンを組む際は手続きが必要です。
上記の情報をあらかじめ知っておく事で、競売物件をスムーズかつ安心して購入する事ができるでしょう。