「売却できない…」流動性が低い投資用マンション!リスク解消法は?

食品や化粧品など世間にはさまざまな商品が流通していますが、中でも投資用の区分マンションは流動性が低い部類に入ります。
流動性とは、市場に出回る数の多さを表すもので、市場に出回る数が大きいものほど流動性が高いとされています。
株式やFXなどに比べて、不動産投資は高額な物件を扱うため、流動性が低くなってしまうのです。
流動性の低さは、売却したくてもできないといった投資においてリスクになるケースも。
では、投資をするうえで本当にリスクしかないのでしょうか。
本記事では投資用マンションの流動性について、低さとリスク、対策をご説明します。
1.投資用マンションの流動性リスク
世の中には、さまざまな商品が存在します。
中でも不動産は、高額であることから購入や売却に時間が掛かるため、流動性リスクが高いと言われています。
1)投資用マンションの流動性が低い理由とは
投資用マンションは流動性が低いと言われています。
その理由は、株やFXのように不特定多数の人が自由に売買できる資産ではないからです。
例えば、投資用マンションを売却する場合、買主と売主の1対1の相対取引となります。
そのため、双方の希望条件が合致しなければ成約には至りません。
したがって、投資用マンションを売却したくても、売りたいタイミングで買い手が見つかるかは分からないでしょう。
希望のタイミングで売却しようとすれば、物件価格を下げざるを得なくなるケースも。
これらが、投資用マンションは流動性が低く、リスクが高いと言われる所以なのです。
2)不動産の種類による流動性の違い
不動産にはいくつか種類があり、その種類によって流動性が異なります。
不動産投資で言えば、区分マンションは比較的流動性が高いでしょう。
理由は、価格帯が他の不動産(一棟ビル・アパート)よりも手頃であるため、買い手が付きやすいことが挙げられます。
「入居者を獲得しやすい物件」や「売却益を得やすい物件」は不動産投資家からの需要が高く流動性も上がるでしょう。
<物件による流動性の違い>
流動性が高い↓ | 流動性が低い↓ |
区分マンション | 一棟アパート・一棟マンション |
ワンルームマンション | ファミリーマンション |
マンション | 戸建 |
駅近 | 駅から遠い |
都心に近い | 郊外にある |
築浅 | 築古 |
室内や外観が良い | 劣化が目立つ |
設備が充実 | 設備が不十分 |
2.不動産の流動性リスクが低い物件
不動産の流動性リスクを低減するには、次のような条件を満たす投資用マンションを選ぶと良いでしょう。
1)都心にある好立地の区分マンション
不動産投資は、所有物件を賃貸住宅として運用し、入居者から家賃収入を得られます。
入居者が部屋探しで重視する点は、利便性です。
利便性の高い物件は、入居者からの賃貸需要が高く、オーナーは安定した家賃収入を得ることができます。
都心にある好立地の区分マンションは、入居者にとって利便性が高いとされています。
このような物件を購入して不動産投資を始めれば、売却時に困る心配も少なく、流動性リスクは抑えられるでしょう。
好立地とは?
- 都心に近い
- 駅から近い
- スーパーやコンビニなど周辺に商業施設が充実
- 治安が良い
2)状態が良好、設備が充実の築浅
建物の状態や築年数なども、流動性に影響を与えます。
適切な修繕や管理が行われ、外観や室内が良い状態であれば、入居者も獲得しやすくなります。
また、オートロックやモニター付きインターホン、宅配ボックスなど入居者ニーズの高い設備が整えられていれば、さらに賃貸需要は高くなるでしょう。
不動産投資家にとっては、物件価格が低く、建物や室内の状態が良い築浅マンションは魅力的です。
つまり、建物や室内の状態が良く、入居者に人気の設備が充実した物件は、購入したい不動産投資家が多いため流動性リスクも低くなるでしょう。
3)融資が受けられる
投資用マンションを購入する場合、ほとんどの投資家は不動産投資ローンを利用するでしょう。
したがって、金融機関から融資が受けられる物件であるかどうかも流動性に関わってきます。
ローンが通る物件であれば、買い手が集まりやすいため、流動性は高まるのです。
また、路線価格が高い場所に立つ物件は、積算評価も上がり融資を受けやすくなると言われています。
しかし、積算評価が高い物件は、物件価格も高額になるため注意が必要です。
投資用区分マンションの価値は、収益還元法を用いて評価されるケースが多くなっています。
収益還元法とは、その不動産が将来的にどの程度の収益を生み出すかという点を重視する計算法です。
したがって、人気のエリアにあり、ある程度の家賃収入を望める収益割合が高い物件ほど、流動性リスクは低く抑えられるということになります。
3.区分マンション購入時に流動性リスクを下げるには
不動産の流動性は、投資計画に大きく影響を与えます。
流動性リスクを抑えた不動産投資を始めるのであれば、物件購入を慎重に行いましょう。
流動性リスクの低い物件を選ぶ際のポイントをご紹介します。
1)建物耐用年数の残存期間と所有期間を考慮する
建物は、構造や建材別に法定耐用年数が定められています。
例えば、住宅用物件の場合、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と、鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は47年です。
また、鉄骨造の法定耐用年数は、骨格材の厚さによって19年、27年、34年に分けられます。
多くの金融機関では、この残存耐用年数を基準として融資期間を設定。
築20年超ではローンを組める金融機関が減少していきます。
また、売却時には譲渡所得税の納税義務が生じます。
物件の所有期間が5年以下の場合、税率が高く設定されている点にも注意が必要です。
したがって、流動性リスクの低い物件を購入する際は「築20年を超える前に売却する」「最低でも5年間は所有する」。
これらを踏まえたうえで、適切な築年数の区分マンションを選ばなければなりません。
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2)利回りと家賃下落率を考える
投資目的の区分マンションは、利回りが重視されます。
高利回りの物件は売れやすく、低い物件は売れにくくなるのです。
他にも、家賃下落率も売却時の不動産価格に影響を与えます。
また、サブリース物件の購入には注意が必要です。
一般的な物件管理に比べて、サブリースだと利回りが低く、築年数の経過とともに家賃を下げられるリスクがあります。
3)最後まで保有することを前提に築古ワンルーム(30年弱)を狙って購入
投資用マンションの流動性が低いのは事実です。
しかし、流動性の低さが必ずしもリスクになるわけではありません。
最後まで保有することを前提にするのであれば、流動性を考慮する必要はないのです。
築30年弱の築古ワンルームマンションであれば、物件価格が低くなります。
不動産投資は賃貸需要のあるエリアであれば、安定してインカムゲインを得ることが可能です。
物件価格と利回りのバランスを考慮して築古ワンルーム物件を購入し、最後まで保有することを前提に運用すれば、流動性リスクを気にする必要はなくなります。
4.投資用マンションは流動性が低い=リスクではないケースも
繰り返しになりますが、投資用マンションの流動性は低いです。
しかし、流動性の低さはリスクではなく、メリットと捉えることもできます。
なぜなら、流動性が高ければ、価格変動も大きくなるはずだからです。
良い方向に相場が動き、物件価格が高くなるのであれば歓迎すべきことですが、投資の場合その逆も起こり得ます。
つまり、価格変動が大きければ、不動産の物件価格が上がるだけでなく、急激に低下するリスクもあるのです。
投資用マンションは流動性が低く、価格相場が急激に変動することはありません。
投資用マンションをはじめとした不動産は、流動性が低いからこそ安定した資産だと言うことができるのです。
また、インフレになると物価が上がり、現金の価値は下がります。
しかし、流動性の低い不動産は、インフレでも資産価値が下がりにくく、物価上昇に伴う家賃の値上げが可能です。
したがって、投資用マンションはインフレ対策になる資産であると言えるでしょう。
まとめ
投資用マンションは、株式や債券などと比べて流動性が低いと言えます。
不動産の売却時に流動性リスクを少しでも抑えるには、賃貸需要がある物件を購入することが大切です。
具体的には、都市部に近い利便性の高いエリアにある築浅、しっかりメンテナンスがされている物件、設備が整っている物件などです。
物件を購入したいと考える不動産投資家が多ければ、流動性は高くなります。
また、投資用マンションの場合、「ローンを組めるか」「収益性が高いか」という点も流動性に影響を与えます。
しかし、流動性が低いということが、必ずしもリスクにつながるわけではありません。
流動性が低いからこそ、投資用マンションの価格は変動しにくく、資産価値を維持しやすくなっています。