不動産業者から直接物件を購入できる。売主物件のメリットと注意点を解説

不動産を購入するときは、不動産会社に仲介に入ってもらい取引することが一般的だと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、不動産会社が売主となっており、直接取引することで物件を購入する方法もあります。
今回は、不動産会社が売主の場合の「売主物件」を購入するメリットと注意点をご紹介していきます。
1.「売主物件」と「仲介物件」
売主物件とは、売主が仲介業者を介さずに直接販売している物件のことを言います。
不動産会社が売主の場合、不動産会社が買主と直接契約を締結します。中古物件でも、不動産会社が中古物件を買い取り、リフォーム・リノベーションをして販売するケースなどがあります。
一方で不動産会社に仲介を依頼し、購入または売却する物件を仲介物件と呼びます。仲介の場合は、売主(不動産業者でも個人でも)と買主の間に不動産会社が入って契約を成立させます。
売主物件と仲介物件の特徴をまとめると以下のようになります。
売主物件 |
|
仲介物件 |
|
2.売主物件を購入するメリット
1)売主物件は仲介手数料がかからない
売主から直接物件を購入するメリットは、仲介手数料が発生しないということです。
不動産会社が仲介に入っている場合、売買契約が成立すると売買価格とは別に、仲介業者へ手数料を支払わなければなりません。
仲介手数料の額は法律で上限が決められており、以下の通りになります。
取引物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
400万円を超える金額 | 取引額の3%+6万円+消費税 |
200万円超400万円以下の金額 | 取引額の4%+2万円+消費税 |
200万円以下の金額 | 取引額の5%+消費税 |
例えば、2,000万円の物件を購入した場合、2,000万円×3%+6万円=66万円(+消費税)程度の手数料が発生する計算になります。
不動産会社に仲介を依頼して物件を購入する際は、仲介手数料の上限を超えていないかを確認しておきましょう。
2)売主は契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う
中古物件であれば、物件購入後に設備や躯体に瑕疵があるかもしれないと少々心配になるかもしれませんが、売主物件の場合は、不動産業者が売主であるため、契約不適合責任(瑕疵担保責任)がついてきます。
売主が不動産業者である場合は、買主を保護する観点から、契約不適合を担保すべき責任に関して、売主が通知をする必要がある期間を、物件の引き渡しの日から2年以上にする特約を除き、買主に不利になるような特約をつけることはできなくなっています。
3)自由度が高い
不動産会社に仲介に入ってもらう場合、交渉が煩雑になってしまう恐れがあります。
しかし、売主の不動産業者から直接購入することで、交渉も当事者間で行うことができ、双方が納得すれば、売買条件の変更も可能となります。
また、値引き交渉も当事者間で話を進めるため、レスポンスが早くなるというメリットもあります。
3.売主物件を購入する際の注意点
令和元年時点で、全国の分譲マンションの総戸数が約665.5万戸であるのに対し、新築は約11.0万戸です。このことからもマンション市場における中古マンションの割合の多さが分かります。
※参考:国土交通省「分譲マンションストック戸数」https://www.mlit.go.jp/common/001351557.pdf
そんな中、最近ではリノベーション済みのマンションも増えてきています。リノベーション済みのマンションは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションをして売り出す場合があり「売主物件」となります。
このような場合、見た目はきれいでも、建物自体の構造などは確認することが難しいです。
リノベーション済みマンションは、構造上の補修や補強が十分に行われているか専門家に調査をしてもらうと安心かもしれません。
また、売主物件で仲介手数料がかからないからといって、それだけでお買い得であると判断するのは早計です。必ず近隣の相場と照らし合わせて価格が妥当かどうかを判断しましょう。相場が分かっていれば、値引き交渉の際にも話を進めやすくなります。
4.まとめ
売主から直接不動産を購入すると、仲介手数料などのコストがかからず、安く物件を購入できるかもしれません。また、間に人が入らないことで、話もスムーズに進むというメリットもあります。
しかし、売主に直接交渉するためには、最低限の不動産の知識や相場感が必要になります。不動産の取引に関して、柔軟な対応を希望される方は、売主物件の購入も視野に入れると良いでしょう。