不動産投資は生命保険の代わりになる?「団体信用生命保険」とは
不動産投資ローンを組む際に「団体信用生命保険」(団信)への加入を義務付けられるケースは多いですが、団信は生命保険の代わりとなり、いざという時に契約者や家族を守ってくれます。
ただし生命保険と異なる点がありますので、生命保険の代わりに加入する際には注意が必要です。
団信とはいったいどんな保険か、通常の生命保険との違い、生命保険代わりにした際のメリット等をご紹介します。
1.団体信用生命保険(団信)とは?
不動産投資を行う際、一括で購入するより不動産投資ローンを組む方の割合が多いです。
ローンを組む事でレバレッジ効果が得られる事、キャッシュフロー(手元に残るお金)が多くなる事、数千万円の費用を貯める事なく賃貸経営が出来るという多くのメリットがあります。
民間の金融機関のほとんどはローンを契約する際「団体信用生命保険」(団信)への加入が義務付けられていますが、団信は名前に「生命保険」と入っている通り生命保険の一種です。
そのため生命保険代わりとしての機能を担っており、「不動産投資が生命保険の代わりになる」と言われる理由となっています。
団体信用生命保険は契約者に万が一のことがあった場合に、保険金でローンの残債が弁済される仕組みとなっています。保険料はローンの金利に上乗せされる形が一般的です。
金融機関によっては三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や八大疾病(三大疾病に加えて、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎)特約付きの商品や日常の病気やケガに対応したタイプの団信も存在します。
いずれの商品もいざという時に保険金で住宅ローンが弁済されますので、金融機関にとっては融資したお金が貸し倒れとなるリスクがなくなります。
団信は契約者だけではなく金融機関を守る制度でもありますので、多くのケースで加入を義務付けられているのです。
ただ団信は通常の生命保険と違う点がありますので、「不動産投資をするなら生命保険は解約しても大丈夫」と一概には言えないケースも存在します。
2.生命保険と団体信用生命保険の違い4つ
一般的な生命保険と団信の大きな違い4つを見ていきましょう。
1)仕組み
一般的な生命保険(死亡保険)は加入者と保険会社が契約を行いますが、団信では金融機関を通じて保険に加入します。
万が一の時に生命保険では保険会社から所定の手続きを経て加入者に保険金が支払われますが、団信では保険会社は金融機関に保険金を支払いローンの残債に充てる形となります。
2)保険金の受け取り方
生命保険・医療保険ではいざという時に加入者は給付金を現金として受け取る事が出来ますので、葬儀費用や入院費・手術費用など使い道は限定されていません。
団信では保険金はローンの弁済に充てられるため、いざという時の生活費用等は自分で用意しなくてはいけません。
ただし不動産という財産は手元に残り、空き室にならない限り家賃収入が定期的に入ってきます。
3)支払方法
生命保険料は銀行振り込みや口座振替等で支払いますが、団信の保険料は基本的にローンの金利に上乗せされます。
保障内容は主に住宅ローンの弁済
民間の保険では三大疾病等の病気に備えた医療保険、万が一の場合の死亡保険に加え、介護保障や収入のサポート、健康の場合に保険料が戻ってくる健康増進型保険等、扱う保険の商品が多岐に渡ります。
団信はローンの弁済が目的ですので、上記のように多岐なサポートは受ける事が出来ません。ただし、中には契約者の妻が女性特有のがんと診断された場合、一時金が給付されるタイプの団信や入院費用の保険金が給付される商品があります。
緩和型の保険商品はどちらにも存在する
高血圧症や糖尿病等の持病がある方は、生命保険や医療保険・団体信用生命保険に加入出来ない場合があります。
生命・医療保険は持病がある方の保険商品があり、保険料は高めになりますが所定の病気にかかってしまった際に保険金が受け取れます。
団信でも「ワイド団信」という病気にかかった事があっても加入できるタイプの商品がありますので、持病が原因で団信の審査に落ちてしまった時には検討してみましょう。
3.生命保険は人生で2番目に大きな買い物?不動産投資のお得な仕組み
多くの方は人生で一番大きな買い物は「住宅」になりますが、生命保険は「人生で2番目に大きな買い物」と言われています。
2019年の調査で、生命保険に加入している人は男性で81.1%、女性では82.9%となっています。加入率は40代が男女ともに最も高くなっています。
世帯の平均年間払込保険料は、38.2万円となっており30年間支払い続けると1146万円に上ります。
1000万円を超える高額な支払いとなりますので、「人生で2番目に大きな買い物」という表現は妥当であると言えるでしょう。
貯蓄タイプの保険や解約返戻金が貰える保険は別ですが、掛け捨ての場合は保険金が下りなかった方は掛け金を支払い続けて終わってしまいます。
病気にかからなかった事は非常に喜ばしく保険に加入する事で安心感を得られますが、1000万円以上支払って何も残らないという結果になってしまいます。
不動産投資で団信に加入すると、保険金が下りなかった際も不動産が残ります。
殆どの不動産投資ローンでは団信への加入が必須ですので、不動産投資は「生命保険に加入しつつ賃貸経営が可能、不動産を得る事が出来る」仕組みとなります。
通常の生命保険では発生しない空き室リスクや災害リスク等があり、経営が順調にいくとは限りませんが、不動産投資で賃貸経営を行いつついざというときの保障を受けたい方には有難い仕組みです。
4.不動産投資を生命保険代わりに
不動産投資でローンを契約する際に団体信用生命保険に加入すると、もしもの時にローンを弁済できます。不動産が残り家賃収入が入ってきますので、残された家族に定期的な収入が入ってきます。
既に生命保険に加入している方は、団信と内容が被っている場合解約する事で保険料を支払う必要がなくなります。
団信を生命保険の代わりとして利用し、いざという時に備えましょう。