売れない旗竿地の買い手を見つける4つのポイント
旗竿地は、土地の形状が整形ではなく暮らしに制限が出るケースもあるため、不動産評価が低く、売却に難航することもあります。本記事では、売れる旗竿地と売れない旗竿地の特徴や売却のポイントをご紹介します。
1.旗竿地の定義と土地評価
「旗竿地(はたざおち)」とは、公道に面する間口が狭く細い路地の先に広い敷地がある土地のことです。
旗と竿でできた“フラッグ”のように見えることから、旗竿地と呼ばれています。
1)旗竿地の定義
旗竿地は、路地状部分(敷地延長部分)を挟んで道路に接しています。
敷地の間口は道路に2m以上接し、路地状部分の幅がすべて2m以上あることが特徴です(接道義務)。
旗竿地は都市部の住宅密集地に多く、接道義務を満たさない敷地は、再建築不可とされます。
2)なぜ旗竿地の土地評価は低いのか
旗竿地は、敷地形状が特殊で制約が多いため、万人向きではありません。
● 隣家と近い住宅密集地は建築計画に制約を受けることがある
● 建物で囲まれているため採光・通風が得にくいことがある
● 間口が狭いことから工事車両の駐車スペースが確保しにくい(建築コスト、リフォームコストが上がる)
● 水道や電気の引き込みや敷地境界のフェンスも長くなりがちでコストがかかる
● 公道から見えにくいため防犯面に注意が必要
以上の理由で、不動産評価が低くなる傾向があります。
2.売れる旗竿地の特徴
旗竿地は、整形地よりも売却に不利なことが多く、買い手がつきにくいのは事実です。
しかし、デメリットを逆手にとってメリットを感じてもらえれば、売却できる可能性が高まります。
1)固定資産税が安い
旗竿地は建築に多少の制限があることから、周辺の整形地に比べて土地価格が安いことが特徴です。
土地価格が安いため、固定資産税も安くなります。
2)「竿」部分の間口が広い
路地(竿部分)の間口が3mほどあれば、駐車スペースとして土地を活用できるケースもあります。
ただし、敷地延長部分の所有者が他にいないかは評価に関わる部分ですので必ず確認しましょう。
3)日当たりが良い
旗竿地は、四方向を隣家に囲まれていることが多く、日当たりが悪い傾向にあります。
その中で、日当たりが良い土地があれば、売れやすい旗竿地といえるでしょう。
4)落ち着いて暮らせる
旗竿地は「竿」の部分はアプローチの役割で、「旗」の部分に建物を建てます。
道路から少し離れた場所に建つことが多いので、喧騒から離れて落ち着いた暮らしが手に入ります。
5)再建築不可ではない
再建築不可ではない旗竿地は、売却に有利です。
再建築不可とは、敷地が接道義務を満たしていないことから、再建築(新築・改築・増築・移転)ができないことをいいます。
旗竿地は間口が狭いことから、再建築不可の土地も少なくありません。
再建築不可物件ではない旗竿地は、比較的、売却しやすい傾向にあります。
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3.売れない旗竿地の特徴
売りやすい旗竿地がある一方で、次のような条件を持つ旗竿地は、比較的、売れにくいといえるでしょう。
1)日当たりが悪い
旗竿地は昔ながらの住宅密集地にあることが多く、隣家との距離が近いこともあります。
日当たりが悪い旗竿地は需要が下がります。
新たに家を建てる場合も、採光や隣家からの視線や音、外構計画などをよく検討する必要があるため、建築計画が難しいものです。
2)再建築不可
不動産投資の経験が豊富な方なら、再建築不可旗竿地の収益化も可能でしょう。
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しかし「古い建物を取り壊して新築したい」という場合、再建築不可物件にはさまざまな制限とリスクが伴います。
土地を割安で購入し、自ら居住することを考えている一般の方には、再建築不可の土地は敬遠されます。
3)「竿」部分や間口が私道となっている
旗竿地の「竿」部分や、間口が私道となっている場合、なかなか買い手が付きにくいものです。
私道は公道と違い、役所ではなく所有者同士で取り決めを行います。
私道の持ち主が複数いる場合は、人や自転車などが私道を通行する権利と、上下水道やガスなどの引き込み工事などを行う権利について「通行・掘削承諾書」を交わします。
ただし、承諾書を交わしたとしても、「植木鉢を置いている」「長時間駐車している」等、近隣トラブルが起こりやすいため「竿」部分の所有権がある物件と比較して需要や価値は下がります。
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4)住宅ローンが組みにくい
旗竿地は、同じ地域の整形地に比べて不動産評価が低いものです。
担保価値の低い土地は、銀行ローンの審査に難航したり、審査が通らないこともあります。
4.売れない旗竿地を売却するためのポイント
売れない旗竿地を売却するには、ポイントがあります。
次の4つの点を踏まえて、売り方を検討してみましょう。
1)売れなくても建物を解体しない
旗竿地がなかなか売れないとしても、安易に建築物は解体しないようにしましょう。
● 再建築不可であれば、住宅を再建築することができない
● 住宅用地の特例の対象外となり、固定資産税が跳ね上がる
更地とすることには、上記のようなリスクがあります。
お持ちの旗竿地が「再建築不可物件」かわからない場合は、法務局で地積測量図・公図・登記事項証明書・建物図面を取り寄せた上で、役所で相談や確認ができます。
2)評価を踏まえた売り出し価格に
旗竿地は、不動産評価が低くなりがちです。
評価を踏まえて、妥当な売り出し価格を設定することが早期売却に繋がります。
3)隣接地の所有者に旗竿地購入を打診
隣地の所有者に購入してもらうというのも、旗竿地の売却方法の一つです。
隣地と旗竿地を合わせて広い整形地になるのであれば隣地所有者のメリットも大きいため、買い取ってもらえるケースも少なくありません。
4)不動産会社に買い取ってもらう
「仲介」で売却できない不動産も、不動産会社に買い取ってもらえる可能性があります。
不動会社による買取は仲介手数料がかからない点がメリットですが、買取価格は相場の7〜8割ほどになるのが一般的です。
● 仲介による売却では買い手がつかなかった
● できるだけ早く売却したい
● 売りたい時期が決まっている
このようは事情・状況であれば、買取は効果的な売却手段となるでしょう。
5.売れない旗竿地は「収益化」も選択肢の一つ
旗竿地は、相場価格と比較して低廉になり、なおかつ買い手が見つかるまで時間を要する傾向にあります。
一方で、賃料相場に関していえば売却価格ほど相場との乖離は見られません。
売りにくい旗竿地は、そのまま所有を続けて収益化するというのも選択肢の一つになるでしょう。
ただし、旗竿地の立地や広さによって、適した運用方法は異なります。
1)賃貸用戸建住宅としてそのまま貸し出す
戸建をそのまま賃貸用として貸し出す方法が、もっとも手間と費用がかかりません。
● 駅から距離が近い
● 人気の学区内
● ファミリー層の需要が高い
● 周辺に生活利便施設が多い
このような立地にある旗竿地は、賃貸戸建として運用することに向いているといえるでしょう。
2)建物を解体して土地活用
建物を解体し、駐車場やトランクルーム、賃貸アパート経営で収益化する方法もあります。
適した運用方法は、間口の広さや立地によって異なります。
たとえば、一定規模以上の集合住宅を建設する場合には、一般的な住宅以上の間口が必要です。
車の往来が難しい接道条件や間口であれば、駐車場経営は難しいといえるでしょう。
(出典:株式会社キュラーズ)
トランクルームは、近年、分譲住宅が狭小化していることから需要が伸びている市場の一つです。
いずれにしても、既存建物を解体する場合は、更地にすると二度と新しい建物を建てられない「再建築不可」の土地ではないか必ず事前に確認してください。
まとめ:旗竿地の売却は依頼先選びから
売りにくい旗竿地を売却するには、依頼先選びが何より重要です。
不動産売却は、旗竿地の取り扱い経験が多い会社に依頼しましょう。
旗竿地を所有したまま収益化する方法もあります。
旗竿地の売却を検討している場合は、複数の提案ができる不動産会社に相談することをおすすめします。