投資用マンションに自分で住んでも大丈夫?注意点やローンの問題を解説
投資用に購入したマンションにオーナー自身が居住する事は可能なのでしょうか?
結論から言えば住む事は可能ですが、ローンの問題や注意点があるため、多くの場合オーナーにとって不利益が生じてしまいます。
不動産投資ローンを組んでいる場合、住宅ローンへの組み換えは難しく、住宅ローンの金利の低さや住宅ローン控除といった恩恵を受ける事ができません。
自身で投資用マンションに住んだ時のローンの問題・注意点を見ていきましょう。
1.不動産投資ローンをどうするか?
投資用マンションに住む上で最大のネックが不動産投資ローンとなります。
投資用マンションを購入する際は不動産投資ローンを契約する方が多いですが、自己の居住用のローンは住宅ローンとなりますので金融機関との契約に食い違いが生じます。
まずは金融機関に投資用マンションへの居住許可を取りましょう。
一般的には住宅ローンの方が低金利ですが、投資用ローンから住宅ローンへの組み換えは難しいと言われています。
2020年10月時点での住宅ローンの金利は0.4%~2.4%程度で、不動産投資ローンは1.7%~4.5%程度となっています。
もし金融機関から許可が得られたとしても、自身の居住用マンションに投資用ローンの高い金利を払い続け、住宅ローン控除や住まい給付金等の本来受けられるはずの支援制度を活用できないという不利益が発生します。
2.投資用マンションに自身で住む際の注意点や問題点
入居者がいる時は延期または別の住居を探す
既に投資用不動産に入居者がいる場合、オーナーとはいえ立ち退きを要求する事は難しいでしょう。賃貸借契約を結ぶ際には「借地借家法」が適用されますが、借主を守るための法律であり、「正当な事由があると認められた時」に解約の申し入れをすることになっています。例えば建物にアスベストが使用されており健康被害が予想される、老朽化しており建て替えが必要といったケースになります。
なお借主が賃貸借契約を解消する場合は特段の規定はありません。
オーナー都合での立ち退き要求は「正当な事由」とは言い難く法律違反となってしまう可能性が高いため、既に第三者に賃貸している場合は、入居者が引っ越してから自身で住む、または別の住居を探したほうが良いでしょう。
減価償却費が計上できない
建物の経年による資産価値の減少分を経費として計上する「減価償却費」ですが、オーナーが自ら住む場合は賃貸経営ではないため経費の計上が出来なくなります。
減価償却費は賃貸経営の経費で大きな割合を占めるため、計上することで税金を節約できることがあります。
特に購入1年目は年度末、手元にお金が残り実質黒字だったとしても減価償却費を計上する事で、帳簿上赤字となり税金が免除されるケースがあります。
自身で住む事で減価償却費を計上できず、節税が不可能になってしまいます。
家賃収入が減る・なくなる
当たり前ですが、自身で住むと家賃収入を得られなくなってしまいます。
固定資産税や修繕費などの維持費、ローンを組んでいる場合はローン返済の費用が必要となります。
家賃収入が無い状態でも費用を支払えるかを確認しましょう。
3.居住用と投資用マンションは分けて考える
投資用マンションの購入を検討する際、自分が住む事を考えて購入を検討する方がいらっしゃいますが投資用と居住用マンションは分けて考えたほうが良いでしょう。
投資用マンションで最も重要なのは利回りやキャッシュフローといった収益性です。
居住用マンションでは利便性やアクセス、オートロックや宅配ボックスといった設備が重要となりますが、こういった「都心にある住み心地の良い物件」は、利回りが低く収益性は見込みづらいです。
ただし資産価値は高いため、「相続税対策にマンションを購入したい」「子供が将来住めるようなマンションを買ってあげたい」という方や「収益性よりも資産価値が高い物件が欲しい」という方が購入し、上記の問題点を理解した上で住むのには問題ないです。
不動産投資の目的は人により違いますが、「利益を得たい」「老後の収入を確保したい」という方が多くを占めていますので、投資用と居住用のマンションは別物として考えましょう。
また投資用マンションは単身世帯用で床面積が30平米以下の物件が多いですが、住宅ローン控除を適用するためには床面積が50平米以上であることが条件の一つになっています。
事業で利益を出すことと自身が住む事を両立させるのは、非常に難しいという結論になります。
4.不動産投資ローンと住宅ローン
居住用と投資用不動産を分けて考えた場合、どちらもローンで購入したい時は不動産投資ローンと住宅ローンを併用する事になってしまいます。
不動産投資ローンと住宅ローンを並行して契約しても良いのでしょうか?
不動産投資ローンを先に組んでいる場合、賃貸経営の状況によって住宅ローンの融資額に影響を及ぼすことがあります。
赤字の場合は年収が赤字の分低くみなされる可能性があります。
一方で住宅ローンを先に契約した時は、住宅ローンの残債が重要となります。
既に完済している、残債が少ない場合は大きな影響はありませんが、残債が多い時は審査で不利に働く可能性があります。
不動産投資ローンと住宅ローンは併用が可能ですが、既に投資目的で自己資金をお持ちの方やご年収の高い方であれば、先に不動産投資ローンを契約し経営が黒字の状態で住宅ローンを申し込むのが良いと考えられます。
5.投資用マンションに自身で住むと、不利益が生じる可能性が高い
投資用マンションに自身で住むのが適したケースは、相続税対策で購入した時や収益性よりも資産価値を重視して都心のマンションを運営しているケース、いずれ子孫に残すため利便性の高いマンションを買った時等条件が限定されています。
加えて「住宅ローン控除等の支援制度が受けられない、家賃収入が入らなくなる、といった事を踏まえてもなお住みたい」場合が良いでしょう。
大半の場合はオーナーにとって不利益やデメリットが多いため、別の住居を探したほうが無難です。