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コラム

オリンピック延期による投資用不動産の影響(売却編)

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、史上初のオリンピック延期となりました。

本来であれば、今頃は東京オリンピック2020開催に向けてインバウンド需要がピークに達するはずでしたが、現実はインバウンドがほぼゼロという急転直下の状況です。

このような経済情勢の中、果たして投資用不動産にはどのような影響が出るのか検証してみました。

1.投資用不動産の現状

2020年5月緊急事態宣言が解除された現時点においては、まだ投資用不動産の価格に大きな変動は見られていません。ただ、期待されていたビッグイベントが延期になったことで、当初の算段から狂いが生じることは間違いないでしょう。

当初の予想では、東京オリンピック開催直前を境に価格がピークアウトすると予想していた人は多いのではないでしょうか。私もその1人です。

特に気になっていたのが、2013年に東京オリンピック開催が決定した直後から日本の不動産に投資をしていた海外投資家の動向です

彼らがキャピタルゲイン狙いで売り抜けると考えた場合、タイミングとしては長期譲渡所得で所得税が安くなる2019年から今年のオリンピック開幕までの間と予想していました。

ところがコロナ禍の影響でそれどころではなくなってしまい、現状のところ予想していたほどの不動産取引が行われていない状況です

キャピタルゲイン

不動産を売却した時に出る利益

金融機関の新規融資がストップ

コロナ禍によって投資用不動産の取引にも影響が出てきています。中でも深刻だったのが、緊急事態宣言にともなう新規融資のストップです。

緊急事態宣言を受けてオリックス銀行を始め、投資物件への融資を積極的に行っている金融機関が、コロナ禍の影響で対面による面談ができなくなったことで新規融資を一時ストップしていました。

これにより、不動産取引における「買い」の部分が止まってしまったため、取引件数が減ってしまったのです。

緊急事態宣言はすでに解除されましたが、新しい生活様式への対応により、ソーシャルディスタンスを徹底しなければならなくなったため、不動産会社による顧客への営業はやりにくくなることが予想されます。

2.投資物件の価格が下がる可能性

今回のオリンピック延期、および緊急事態宣言中の動向を考えると、少なくとも現状よりも不動産価格が値上がりすることは考えにくいでしょう。

コロナ禍によって、これから年末にかけて多くの企業が破産、倒産、大幅減収となるのは間違いありません。昨今、投資物件を積極的に購入していたのは、こういった企業に勤めているサラリーマン投資家です。彼らがコロナ禍の影響で尻込みをすれば、昨年ほどの取引件数は発生しなくなります。

ですが、もともと東京オリンピックの前後で売却利益確定を予定していた投資家は、今がピークであると予想して売りに出す可能性が高いです。来年のオリンピック開催すら危ぶまれる中、待っていて事態が好転するとは思えません。

つまり、市場には売り物件が出てくるものの、積極的に買おうとする個人投資家が減ってしまうことから、中古物件を中心に物件価格が値下がりしてくる可能性が考えられます

リーマンショック直後に戻る可能性も

そもそも昨今の不動産価格の上昇は、東京オリンピック開催が決定した2013年頃からスタートしたわけですが、現在の景気動向は戦後最悪の状況が予想されている状態です。

となれば、不動産価格がリーマンショック直後の状況に戻っても不思議ではありません

例えば都内のワンルーム投資物件の場合、2005年に新築2,000万円で買った物件の売値が、2012年に1,600万円で売買されていました。現在はオリンピック効果などで新築価格とほぼ同等まで持ち直している状況ですが、このまま経済が低迷すると2012年の時の相場に逆戻りすることもありえない話ではありません。

ただ、私が言いたのは不動産投資が下火になるということではありません。むしろこれからは、今買える人だけが勝ち組になる時代になってくると予想しています。

3.価格が下がっても一過性の可能性

私が今回予想している値下がりは、あくまでアフターコロナの一時的な症状に過ぎず、経済が正常に回り始めればコロナ前の状況には回復すると考えられます。つまり、価格が本質的に下がる訳ではないので、重要なことは慌てないことです。

所有物件を慌てて売る必要は全くありません

むしろ、今警戒すべきことは別にあると考えています。

インフレリスクを考える

マスクが急に値上がりしたように、今後のアフターコロナの状況次第ではインフレが起こる可能性を考えておく必要があります。すでに金の価格が最高値を更新していることからもわかるように、一部ではすでにインフレヘッジが始まっているのです。

インフレに強いといえば、不動産も同じです。

買える人が不動産投資をしてインフレリスクを回避する、そういう状況が生まれる可能性があります。特に、今後不動産価格が一時的に下がるようなことがあれば、それはまさに買いのチャンスと捉えるべきです。

目先しか見えていない投資家が売りに走り、アフターコロナのさらに先まで予測している投資家が安くその物件を買う、という構図が想像できます。

4.まとめ

東京オリンピック延期は衝撃的でしたが、不動産投資で勝ち残るためには焦って売っている場合ではありません。むしろ、価格が下がってきたところで買付を入れるマインドが求められています。

オリンピックが延期したからといって、不動産価格の本質はそこまでブレないでしょうから、少なくとも、株式投資と比べれば価格は安定的で安全な投資先といえるでしょう。

東京オリンピック後の不動産価値は下がるのか?今後の不動産価格について

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