不動産投資にかかる初期費用はいくら必要?抑えるためのポイントも解説
不動産投資を始めるにあたって、いったいどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
本記事では、不動産売買の際にどのような費用がどれくらいかかるのかを見ていきます。
初期費用を抑えるためのポイントも解説します。
1.仲介手数料
不動産仲介会社を通して物件を購入する際にかかる費用です。仲介手数料は物件の価格によって上限が決められています。
取引物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
400万円を超える金額 | 取引額の3%+6万円+消費税 |
200万円超400万円以下の金額 | 取引額の4%+2万円+消費税 |
200万円以下の金額 | 取引額の5%+消費税 |
例えば、2,000万円の物件を購入した場合、2,000万円×3%+6万円=66万円(+消費税)程度の手数料が発生する計算になります。
不動産会社に仲介を依頼して物件を購入する際は、仲介手数料の上限を超えていないかを確認しておきましょう。
なお、不動産会社が直接販売している(売主になっている)物件を購入する場合、仲介手数料は発生しません。
不動産業者から直接物件を購入するメリットは他にもありますので、以下の記事も参考にしてください。
2.不動産投資ローン事務手数料
不動産投資ローン申込時の手続きに関する手数料として支払うのが事務手数料です。その事務手数料は、金融機関や借入金額によって手数料の金額が異なってきますが、手数料の算出方法は以下の2つに分かれます。
1)定率型
借入金額に対し、一定の割合を手数料として支払う方式。
借入金額の2%の場合で、借入金額が2,000万円の場合
2,000万円×2%=40万円
2)定額型
借入金額とは関係なく約10~30万円で設定されている手数料を支払う方式です。
定率型と定額型を見比べた場合、定額型を選んだ方がいいと思われますが、月々返済時の金利が高いケースがあります。ただ単に事務手数料が高い低いというだけで金融機関を選ぶべきではありません。
事務手数料を諸費用借入として借入金に合算できる金融機関もあります。
また、金融機関によっては繰り上げ返済時にも事務手数料を支払わなければならないケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
3.保証会社保証料(+保証会社事務取扱手数料)
不動産投資ローンでは多額の借入を行うことになります。お金の貸し手となる金融機関は、しっかり返済してもらわないと多額の損失を被ることになります。
そのため金融機関はお金の借り手に対し、もしものために借入の弁済をしてもらうために保証会社に保証してもらうのです。その保証会社に保証を依頼するための費用が保証会社保証料です。(その保証会社が保証をする際の事務手数料が必要な場合もあります。)
なお、保証会社を挟まない金融機関もあり、その場合費用が発生することはありません。
4.登録免許税(登記料)
法務局で不動産の移転登記をする際にかかる税金です。
中古物件を購入した際の所有権移転登記の費用は固定資産税評価額の2%となります。
ローンを組んだ際の抵当権の設定登記の場合は、ローンの借入額の0.4%となります。
5.司法書士報酬
登記手続き、抵当権設定、取引の立ち会い、その他の実費などを含めて司法書士へ報酬を支払います。
物件の所有権を売主から買主に移転するために、法務局で登記の手続きが必要です。不動産投資ローンを利用する場合は抵当権設定します。
6.団体信用生命保険料
団体信用生命保険は、お金の借り入れを行った人が、事故・病気により死亡した場合等に、生命保険で債務が相殺され、遺族に借入のない投資物件が残るというものになります。
この団体信用生命保険は、金融機関の費用負担で加入できる場合が多いのですが、団体信用生命保険の付帯が無い金融機関や有償で付帯する場合もありますので注意が必要です。
自分のライフプランを考えて必要かどうかを考える必要があります。
7.火災保険料、地震保険料
不動産投資ローンを用いる際、銀行から火災保険や地震保険の加入を義務付けられます。これについては、個人で通販型保険を選ぶこともできますし、不安であれば不動産会社があっせんすることもできますので、比較検討してみましょう。
8.印紙税
売買契約書と不動産投資ローン契約を締結する際の金銭消費貸借契約書にそれぞれ印紙税を貼付する必要があります。これは、印紙税法によって以下のように法令で決められているものなので、支払う金額を減らすことができません。
借入金額 | 印紙税の金額 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 |
※上記は2021年3月時点での金額です。上記にない価格帯や最新金額については国税庁のホームページでご確認ください。
※参照:国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm
9.不動産取得税
不動産取得税は不動産を購入・新築などにより取得した時に課される税金となります。不動産が所在する都道府県に納める道府県税となります。物件購入後3~6ヶ月程度で納税通知書が届きます。
金額は、固定資産税評価額の4%となります。
10.固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税は購入後にかかる費用となります。
固定資産税は毎年1月1日時点で固定資産台帳に登録されている人に対して課税される税金となります。
不動産売買契約を締結した年は、起算日から引渡日までを売主、引渡し以降を買主が費用負担するという契約にするのが通例となっています。起算日は1月1日にする場合と4月1日にする場合がありますので、契約時に確認しておきましょう。
11.不動産購入時の初期費用を抑えるためには
1)物件価格を抑える
不動産投資にかかる初期費用には、減らせるものと減らせないものがあります。
登録免許税、不動産取得税など、税金関連については金額が決まっているため、減額できるものはありません。これらの費用は固定資産税評価額や融資金額に比例するものが多いため、購入する物件価格そのものを抑えることで費用自体も抑えることが可能です。
不動産投資初心者であれば、少額から始められる中古ワンルームマンションからスタートし、賃貸経営の知識やノウハウを身に付けると良いでしょう。
2)仲介手数料を抑える
不動産会社が売主の場合は、直接取引となるため仲介手数料は発生しません。初期費用を抑えたい場合は、売主が不動産会社の物件が狙い目です。
12.まとめ
不動産投資を始めるにあたって、物件を購入する時は、売買価格のほかに初期費用がかかります。
物件価格全額の融資を受けることを「フルローン」といいます。
頭金や諸費用などの初期費用を借入する「オーバーローン」が可能な金融機関もあります。
初期費用も含めた大きな額の借入をすると当然、返済額も大きくなります。条件の良い物件でなければ月々のキャッシュフローが回らなくなってしまうリスクもあることを理解しておきましょう。
不動産投資にかかる初期費用を理解し、現実的な計画を立てた上で不動産投資を始めていきましょう。